ラブ・ストーリーは突然に、読みたくなる
今年に入ってからハマって読み始めた、原田マハさんの小説。以前4作品を読んだことを記事にしましたが、あれから、「奇跡の人」「本日は、お日柄もよく」「あなたは、誰かの大切な人」「生きるぼくら」などを読みました。
それでも私の中では「キネマの神様」が不動の一位だったのですが、今回それを超える素敵な本に出会いました。
短大時代に友達が教えてくれた本です。原田マハさんを知ったのも、この本がキッカケです。
にもかかわらず、なかなか手が出なかった本でした。今回読んだのはなんとなくで、突然読みたくなりました(笑)
こちらの本なんと、原田マハさんのデビュー作です!ファンならもっと早く読むべきですよねー。
先に読んでいた「楽園のカンヴァス」「本日は、お日柄もよく」などは、美術や政治などの専門性があり、マハさんがもつ膨大な知識を存分に詰め込んだような本が多い印象でしたが、「カフーを待ちわびて」は大変読みやすく、最初の頃のマハさんはこういうものを書いていたんだなぁと、新鮮な気持ちになりました。
さらに、第1回『日本ラブストーリー大賞』大賞受賞作品でもあります!
表紙の写真がとても綺麗ですよね。舞台は、沖縄県にある島。文中にも、景色が見えてきそうな表現が多く、読みながら島暮らしを楽しんだような気分になりました。
タイトルの「カフー」とは、「いい報せ」「幸せ」の2つの意味を持つ沖縄の方言です。さらにこの本ではもう一つ意味があり、主人公が飼っている黒いラブラドールの名前が、カフーといいます。
明青(あきお)というのが、主人公です。35歳独身で、母に捨てられた過去を持つ、根っからの島人間です。
ある日、明青の元に届いた一通の手紙から、お話は始まります。
「絵馬の言葉が本当なら、私をお嫁さんにしてください」
そう書かれた手紙は、幸(さち)さんからのものでした。
思い当たるのは、以前、明青が絵馬に書いた「嫁にこないか。幸せにします」の返事かもしれないということ。
それから、明青と幸の2人の生活が始まります。
幸の目的、占い師のお婆とのふれあい、島の開発を巡る人間関係、男同士の友情など、ラブストーリーでありながらも、様々な展開が度々起こるので、話はテンポ良く進んできます。
なんといっても、幸がとってもいい子なんですよね~泣
一生懸命でまっすっぐなところや、男気があるところなど、同性でも好感を持ちました。
明青の「嫁にこないか。幸せにします」という言葉を文中で読んだ時は、ジーンとなりました。男同士の友情にも、いい裏切られ方をしたので、こちらもよかったです。
ラブストーリーではありますが、物語全体の人間関係も丁寧に描かれているので、読んで心がほっと温かくなる、優しい気持ちになれる、素敵な本でした。
そして2人の関係の結末には、驚くこと間違いなしです。
読んだ感想をいつか、教えてくれた友達に伝えられたらいいなぁと思います。