本音のりっちゃん

本音のりっちゃん

\27歳の本音ブログ/

歪笑小説と、ちょっといい話

東野圭吾「歪笑小説」(わいしょうしょうせつ)

この本の感想を書く前に、この本との奇跡的な出会いについて。ちょっといい話になっております。

f:id:honneno-rittyan:20190918135706j:plain

この「歪笑小説」との出会いは、毎度おなじみいつもの図書館です。私が住んでいる横浜市の図書館では、一人6冊までの本を2週間(延長をすると最長4週間)借りることができます。私はいつも、一緒に住んでいる姉の分も借りるので12冊を借りていました。かなりの重さです(笑)

姉はいつも「これ面白かった~♪」と単行本でも1日2日で読んでしまったり、「りっちゃんが借りてくるもの全部面白い!」と、いつも私のセンスをほめてくれるので、いつからか自分が読む本より、姉の好きそうなものを厳選することに力を注いでいました(笑)なんだかんだ楽しかったなぁ。

そんな姉も結婚して今月中には家を出ていく予定なので、私の役目も終わりです。

そして姉が読む用に借りてくる最後の週、奇跡は起こりました。

普段から、ハズレがない東野圭吾湊かなえをよく借りていたのですが、ある時東野圭吾の本を借りてきた時に姉が言いました。

東野圭吾の、出版社のなんかがすごく面白くてそれが読みたいんだよね~。」

東野圭吾の、出版社のなんか・・・分かりませんでした。

分からなかったので探すこともなく、数ヶ月が過ぎました。

そして最後の週に借りてきた、この「歪笑小説」を見て姉が一言。

「これだわ。」 

歪笑小説 (集英社文庫)

歪笑小説 (集英社文庫)

 

「嘘でしょ!?」「いやこれだよ!」「最後の最後でやったわ!」「これこれ~~!!これだわ~!!」

2人で大騒ぎでした(笑)

この本は予約した本ではなく、たまたま本棚にあったものでした。東野圭吾の文庫本は人気なので、元々本棚に残っていることも少ないし、今まで一度も見たことがなかったこの本が、たまたまあって、それが姉の探していた本でした。

最後の最後に、大役を果たせたような気がしました。

最後にふさわしい本になりました。

f:id:honneno-rittyan:20190918162929j:plain

という、ちょっと奇跡的な出会い方をしたこの「歪笑小説」がとても面白かったことについて、これから書きたいと思います。ネタバレはなしです。

まず、「歪笑小説」という名前を見て、借りようか迷いました。どういう話か想像がつかなかったからです。

でも色々な意味で、選んで正解でした(笑)

*あらすじ抜粋

新人編集者が目の当たりにした、常識破りのあの手この手を連発する伝説の編集者。自作のドラマ化話に舞い上がり、美人担当者に恋心を抱く、全く売れない若手作家。出版社のゴルフコンペに初参加して大物作家に翻弄されるヒット作症候群の新鋭…俳優、読者、書店、家族を巻き込んで作家の身近は事件がいっぱい。ブラックな笑い満載!小説業界の内幕を描く連続ドラマ。とっておきの文庫オリジナル。

個性的な登場人物たちがたくさん出てきます。全員クセあり!なのに、なぜか憎めず愛着が湧いてしまう人たちばかりです。連作小説集なので、次の話にさっき出てきた人が出てきて、こっちにはこの人が出てきて、といった繰り返しになっているので、読み進めていくとだんだん面白くなってきます。

ブラックな笑いがたくさんなので、思わず何度も笑ってしまいました。大笑いとかくすくす笑いとかじゃなくて、鼻でというのがポイントです(笑)

笑いだけかと思いきや、不意打ちでジーンとする場面が意外とあるので、ずるいな〜と思いつつ心が温まりました。特に最後のお話はやられました。

物語としても、出版社業界のこと、編集者や作家の心情が丁寧に描かれているので、こういう世界だったんだとすごく勉強になりました。

話のテンポが速いのでどんどん読みたくなっちゃうし、登場人物も多く少しややこしいところが、また読み直したいとも思う、とにかく面白さ満点の小説でした。

私が一番テンションが上がった場面は、糸辻竹人!絶対あの方じゃん!と思いました。館シリーズ全部読んだもの!こういう小ネタ満載なところも、とっても面白かったです。

改めて、東野圭吾さんは本当にすごい!!

 

そして姉と私の数ヶ月、最後の最後に素敵な奇跡をありがとう。

楽しかったから、ちょっと寂しいです(笑)